アルコール依存症だった僕がお酒を7カ月もやめれた理由

僕は2024年の4月9日にお酒をやめ、今日まで一滴も口にしていません。31歳の僕がしたこの決断は、人生においてとても大きな意味を持つことになりました。
今回は、アルコール依存症だった僕がなぜ7ヶ月以上も禁酒できるほどの決意に至ったのか、その理由と方法についてお話ししていきたいと思います。

愚かな学生時代

以前の僕は、とても愚かでした。
体にとって非常に有害であるアルコールを摂取していたのみならず、過剰に飲むことが「かっこいい」という歪んだ思想すら持っていたからです。

話は13年前、僕が学生だった頃に遡ります。
当時は今と違い、お酒もタバコもかなり規制が緩かった時代でした。田舎にある大学ということもあり、路上タバコ、歩きタバコは当たり前、お酒の飲み方も過激で、大衆酒場ではどの席でも一気飲みコールが歌われていました。
当時の僕が何を考えていたのかと言うと、「飲めるやつがかっこいい」です。もちろん全員がそんな風に考えているわけではありません。中には全くお酒を飲まない人も(ほんの一部ですが)いましたし、お酒がたくさん飲めることに魅力は無いと思っている人もいたと思います。
しかし、一つ確実なことと言えば、僕たちはとにかくお酒を飲みながらバカ騒ぎするのが大好きで、有り余るエネルギーを欲望のままに発揮していたと言うことです。

当時の個人的な飲酒量は、週に3〜4日の頻度で缶の発泡酒1〜2本程度、次の日がオフ(部活が無い)の日には、居酒屋で10杯以上のビール、カクテル、サワーなどを飲み、カラオケに行ってまたビールを大量に飲み、寮に帰ってからも一杯ひっかけてから寝るようなことをしていました。
それでも若さによるものか、体は元気で、たまに二日酔いにはなるものの、あれだけ飲んだのにも関わらず生活に支障はほとんどありませんでした。
そんな生活を送りながらもアスリートである自覚はあったので、オンシーズンは少しお酒を控え、次の日に残るような飲み方はしませんでした。それでもオフの前日は10杯近くのビールを飲んでいましたが、、、。

もしも、僕がお酒に関する教養を当時からしっかりと持っていれば、決してこのような欲望に任せた軽率な飲酒の仕方はしなかったでしょうし、競技力がさらに向上していたことは間違いありません。

社会人になってさらに飲酒量が増加

そんな学生が社会に出て、自分でお金を稼ぐようになったら、稼いだ金をお酒に費やすのは目に見えています。
僕は実業団(会社が運営するスポーツチーム)に所属していましたが、お酒の飲み方は学生の頃と何も変わりませんでした。
会社ではよく飲み会が実施されていましたが、同僚や上司も非常にお酒が好きで大量に飲む人ばかりでした。皆、僕と同じような環境で過ごしてきたのです。
こう聞くと、「なんて酷いんだ」と感じる人もいるかもしれませんが、本当にこういう時代だったのです。むしろさらに昔を考えれば、まだマシだったのかもしれません。

さて、僕の飲酒量は前途した通りですが、これがピークではありません。
僕は社会人3年目に競技を引退したのですが、その後飲酒量はさらに増加することになります。
僕はこれまで、アスリートである自覚から、それでもセーブして飲酒をしていたのです。そのブレーキが外れた時、さらにとんでもない量の飲酒をすることになります。
まず、頻度は毎日になりました。500mlのビール5〜6缶に加え、いも焼酎のソーダ割りがお気に入りで、時には日本酒と一緒に何時間も飲んでいました。外に飲みに行った時はいちいち飲んだ量など気にせず、2件目、3件目、カラオケ、宅飲みと、とにかく思う存分飲みまくりました。休日には昼間から飲み始めることもありました。
それでも僕は体を壊しませんでした。いや、もしかしたら壊していたのかもしれませんが、自覚はありませんでした。
朝はしっかり起きていましたし、仕事も順調にこなしていました。不満があるとしたら、お金が全く貯まらないことぐらいでした。

自慢でも何でもなく、僕はアルコールを分解する機能が遺伝的に高かったのだと思います。
何度か記憶を無くし、人様に迷惑をかけたこともある手前、こんなことを言うのは烏滸がましいのですが、顔が赤くならず、二日酔いにも滅多にならず、一定のペースで飲んでいれば(一気飲みをしなければ)いくら飲んでも記憶を無くすことはありませんでした。
なので、「自分はお酒が強いんだ」と変な自信を持って、自分がどれだけ危険なことをしているのかも知らず、過ちを犯し続けました。

失敗した禁酒

そんな僕が「お酒をやめようかな?」と思ったきっかけは、中田敦彦さんのYouTubeを見たからです。彼のチャンネルには「健康に関する」トピックがたくさんあります。身体に良い食べ物と身体に悪い食べ物を紹介する数多くのコンテンツを配信して下さっている中で、体に悪い食べ物の中に必ずと言っていいほど「酒」が登場するのです。
そしてこの意見は、中田敦彦さんの見解ではなく、栄養や健康、医療などの有識者によるエビデンスに基づいた主張であるという点が重要で、とにかく誰が何と言おうと、事実として「酒は身体に悪い」ということを認めざるを得なくなったのです。

これが4年ほど前のことでしょうか。
それから僕は健康や栄養に関する本を手に取るようになり、自らお酒の危険性を調べ始めました。
もちろん様々な情報を見る中で「酒は健康的」という主張にも出会いましたが、結論から言ってしまうと、これは本当であり、嘘でもあります。
例えば、ビールの中に含まれている「ホップ」であったり、ワインの中に含まれている「ポリフェノール」などは身体に良い栄養素と言えます。ただし、「アルコール」は有毒です。ここでは詳しく言いませんが、こればかりは疑いようのない事実なのです。

例えば、「こちらの食品は、ビタミンCとミネラル、食物繊維、タンパク質、さらにオメガ3脂肪酸を豊富に含んだ超健康食品です。ただし微量のテトロドトキシン(フグの毒)が含まれております。」という食品を食べたいと思いますか?思いませんよね。これは健康的だと言えますか?言えませんよね。
お酒を健康的だと主張している記事やメーカーは、そのようなデメリットを隠し、メリットだけにフォーカスして伝えます。嘘はついていませんが、都合の悪い真実は隠しているのです。

そして、2021年5月25日、決定的な動画が中田さんのYouTubeチャンネルでアップロードされました。
それがこちらです。

ついに、お酒が明らかに不健康であるという趣旨のコンテンツが配信されたのです。
僕はこれを見ました。
そしてこの動画の中(後編)で中田さんは「僕もやめます」と、ご自身が禁酒することを公表したのです。

僕は思いました。「自分もやめよう」と。
この動画を見た多くの人が同じように思ったのではないでしょうか。「お酒は危険なものだったんだ!」「禁酒はできるんだ!」「あっちゃんを見習って、自分もお酒をやめるぞ!」と。

実際どうだったかというと、、、


飲酒量が減っただけでした。

僕の禁酒は数日も持たなかったのです。
それでも劇的に少なくはなりました。
飲酒頻度は週に3~4回、1回の飲酒量もビール(500ml)2~3本程度にまで減ったのです。

ですが、僕はやめれなかった。
もはや長年の大量飲酒は、僕を完全にアルコール依存状態にしてしまっていました。理性では「飲まない方がいい」「不健康だ」「買いに行くな」と思っていても、仕事終わりにフラッとコンビニに入って気づいたらビールを買ってしまう。

結局ずるずると、お酒を飲み続けることになりました。「お酒が体に悪い」という思いを持ったままです。
覚醒剤や麻薬中毒者と一体何が違うのでしょうか。
僕は自分の意志の弱さを嘆きました。

禁酒を決意したあの日

そんな僕が完全にお酒を断つことができたきっかけは、妻の一言でした。
僕はお酒に限らず、健康には人並み以上に気を遣っている自覚があります。栄養管理などを含めた食生活はもちろん、食材を食べる順番や時間、他にも睡眠時間や外出すること、自然と触れ合うことなど、心身ともに健康に過ごすための様々な取り組みをしていました。

ある日家族で車に乗っていると、僕は自分のスマホをいつも通りダッシュボードのスマホホルダーに固定し、健康に関する書籍の要約をしている動画を流していました。
そんな僕に対し、妻がボソッとこう言ったのです。

「それだけ健康に気を遣ってるのに、お酒は飲むんだね。」と。

反論できるはずもありません。
僕自身の一番弱い部分、図星であり言われると傷つく言葉、しかし指摘されないと変われないと思っていた言葉です。
よく、「頭をハンマーで叩かれたような衝撃」と比喩されますが、「これがそれか。」と感じざるを得ないほどの衝撃を覚え、「お前の今の課題はそれだろう」と言われた気がしたのです。

「こんな恥を晒しながら生きるのはもううんざりだ!」
「変わりたいど、変われないなんて、言い訳をするのはもうやめよう!」
「自分はこれまで、本気で解決しようとしてなかったではないか!」

僕はその瞬間、静かに意志を固めました。

最強の手法

僕はすぐに準備に取りかかりました。
この手法を使うにあたって、”前準備”はすでに完了していました。
前準備とは、お酒の恐ろしさを理解したり、お酒を必ずやめようという決意のことです。

あとは行動するのみです。
それではその「手法」について、ご紹介します。

それは、お酒をやめる代償に、同等の対価を持つ自分の欲しい物を購入するというものです。

例えば、今回僕がお酒をやめる対価として購入した物は、ミラーレス一眼カメラに装着する交換レンズで、価格は12万円ほどです。
僕が1カ月間でお酒に使っていた金額はおよそ1万円でした。つまり年間で12万円になります。
なので僕は、12万円のレンズを月々1万円の12回払いになるように1年間のローンを組んで購入したのです。
なぜわざわざローン支払いにしたのかというと、お酒の対価として購入したという意味付けを大切にするためです。反対に一括で購入してしまうと、2か月目以降禁酒を続ける意味がだんだん薄れて来てしまいます。
毎月、自分がこの前まで飲酒に浪費していた金額が差し引かれるという状況を目の当たりにすることで、禁酒のモチベーションを保ち、「自分はこの対価を得るためにお酒をやめたんだ」という思いを忘れずにいることが出来るわけです。

このことから、禁酒の対価を決めるにあたって重要なことは、次の5つです。
①形あるものにすること(少なくとも1年以上もつもの)
例えばカメラや腕時計、ブランドバッグ、スニーカー、家具、家電などです。海外旅行や高級ディナーなどその場限りの体験に使うのは適しません。

②頻繁に使うものにすること
買ったものの、あまり活用しないものだと意味がありません。できるだけ自分の生活の一部となるものを選んでください。

③ある程度高価なものにすること
④分割払い可能なものにすること
金額設定には個人差がありますが、できるだけ思い切った金額にすることが大切です。価格が高ければ高いほど禁酒効果は高いと言えます。
僕の場合は月々1万円をお酒に使っていましたが、居酒屋を利用する方ならば、2~3回行けば1万円です。人によっては月に5万円以上お酒に使っている人もいるでしょう。一方で月々5,000円という方もいるかもしれません。
また、僕は1年間のローンを組んだと言いましたが、これは言い換えるのであれば、1年間は決してお酒を飲むことは出来ないという自分との誓約です。この時期についても短く設定したり、長く設定することが出来ます。
例えば、月々5,000円×半年間(6カ月)=3万円とするなら、3万円のものを6回払いで購入する形になります。
また月々5万円×3年間(36カ月)=180万円とするなら、180万円のものを36回払いで購入するのもありです。
お酒をやめるために180万円かけて「あ~、意志が弱くて飲んじゃった♡」ってなりますか?なりませんよね。笑
背水の陣です。「これだけやればやめれる」って確信できる大胆な制約を自分に課しましょうよ。

⑤自分が心から欲しいと思えるものにすること
これを持っていて自分の欲求が満たされるというものでなければあまり意味がありません。お酒の力は強大ですから、それに抗うため、それに相当する幸福が得られるものを出来るだけ選ぶようにしましょう。

これは禁酒の決意を揺るぎないものにするための”仕組み”です。
「なんか、邪道じゃね?」と思う人もいるかもしれませんが、僕は決してそうは思いません。自分を変えるために、悪習慣を絶つために、自分の欲求を叶えるために、例え手数料を払ってでもローンを組むことは何も悪いことではないと思います。
かくいう僕も、この仕組みを活用することで禁断症状を乗り越え、現在に至るまで7カ月以上も禁酒を続けることが出来ており、この先も決してお酒を口にすることは無いと断言できるのです。

禁酒で得られるもの

お酒を飲むということは、単にお金が無くなるという話だけではありません。
もっと重要なものを犠牲にしていることを忘れてはいけません。
それは健康です。
お金を消費すること以外に、自らの健康寿命を削っているのです。そう考えれば、お酒をやめる対価をお金で買える贅沢品で図ることなど出来ないでしょう。
僕は他の記事でも言っていることですが、禁酒にしても、禁煙にしても、成功させるために必用なのは「仕組み」と「根性」です。
仕組みだけではダメです。また、根性だけでもどうにもなりません。
「ぜったいにやめるぞ!」「自分は変わるんだ!」という強い意志に加え、それを可能にするための仕組みを作らなくては、本当の意味で禁酒や禁煙を成功させることは出来ないのです。
それでは今回のお話はこれぐらいにしようと思います。

僕のブログでは他にも禁煙を成功させた時の方法や、禁酒をするとどんな良いことが起こるのかといった記事を掲載しています。
興味のある方は是非こちらもご覧ください。
ここまで読んでくださった方は、きっと「お酒をやめたい」と本気で考えている方だと思います。それは以前の僕と同じです。だから僕はあなたの味方です。あなたの大きな一歩を応援し、あなたの人生の幸福を心から祈っています。

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