子どものストレスを放置するとどうなる

【子どものストレスを放置するとどうなる】
人が成長するためにはストレスが必要です。
様々な負の感情や経験を経て、人は強くなっていきます。
しかし、ストレスというものは、解消されなければ大きな弊害を生むことになります。
例えば、転んで痛い思いをしてしまった時、親に抱きしめてもらうことは一種のストレス解消です。
極端な例ですが、何もされずに放置されたとしたら、感じるのはストレスだけです。
日頃親からの愛情を実感している子どもが、時々「それぐらいで泣かないの」という対応をされても大きな問題はありません。
問題なのは、常にストレスを感じている場合です。
ストレスを受けた時、脳の中ではコルチゾールが分泌されます。
このコルチゾールの分泌が過剰、あるいは慢性的になると、脳のネットワーク形成に悪影響を及ぼすことが分かっています。
具体的には、以下のような影響です。
記憶や学習に関わる海馬の委縮、感情の制御や集中力を担う前頭前野の発達阻害、不安や恐怖を司る偏桃体の過剰発達などが挙げられます。
さらに、脳のネットワークそのものであるシナプス形成の阻害、神経伝達速度を向上させる役割を持つミエリンの形成遅延などです。
結果的として、学習能力低下、情緒不安定、ストレス過敏といった症状に発展する可能性もあります。
では、成長に必要なストレスを取り入れながら、子供が健やかに成長するためにはどうすれば良いのでしょうか。
そのキーワードが「オキシトシン」です。
オキシトシンは、スキンシップ、優しい言葉がけ、アイコンタクト、笑顔の共有など、日々の親子の触れ合いによって分泌される脳内物質です。
オキシトシンはコルチゾールの分泌を抑制するだけでなく、脳の発達に非常に良い影響を与えます。
ちょうど、コルチゾールによる悪影響とは、真逆の影響です。
つまり、親からの愛情を存分に感じて育った子どもは、個人が持っている学習能力を発揮でき、情緒が安定し、ストレスに強くなると言えるわけです。
繰り返しになりますが、人が成長する上でストレスは欠かせません。
可愛い子には旅をさせるべきなのです。
ただし可愛がることは、旅をさせることより重要なのかもしれません。