九歳の壁

【九歳の壁】
教育界では、「九歳の壁」という概念があります。
これは小学校3年生から4年生にかけての時期にあたり、学校での勉強や人間関係が急に抽象化、複雑化することを指します。
例えば学業では、低学年までは「読み・書き・計算」といった基礎的だったものが、高学年になると「考察力・応用力」が求められるようになります。
また、「自分は他人にどう思われているか」「集団でどのように振る舞うべきか」など、自分なりの価値観や考え方を持ち始めることで、人間関係も複雑になります。
小学校における不登校は、3〜4年生で明らかに増加するのですが、これには九歳の壁(勉強についていけない、友達とうまく付き合えない)が大きく関わっていると言われています。
つまり、9歳までに「言葉から相手(問題)の意図を汲み取る力」を鍛えることが教育における課題の一つだと言えるのです。
子ども、貧困、事件などをテーマに様々な書籍を執筆されている、作家の石井光太さんによれば、
この問題を解決するための一つの方法が、家庭における「会話の量と質」なのだと言います。
子どもはよく、保育園や小学校で新しい言葉を覚えてきます。
中には「ちょっとやめなさい」「誰がそんなこと言ってたの」と感じてしまう言葉もあるでしょう。
そんな経験から、子どもは家庭の外で言葉を覚えてくるものと思いがちです。
確かに子どもは、外から様々な言葉を覚えてきますが、会話の能力自体は親とのコミュニケーションの中で培っていくものです。
成長するにしたがって、子どもは親との会話を拒むようになることが多いです。
これも、小学校高学年以降によく当てはまります。
ですから、話しかけてくれるうちに(悲しい表現ですが)、丁寧に時間をかけて会話をしてあげることが大切なのです。
我が子の読解力、コミュニケーション能力を作るのは、学校の先生や保育士ではありません。
その大元は親であることを忘れてはいけないのです。
もちろん、遺伝という意味ではなく。
我々親の行動や取り組みによって子供の将来は変わります。