コミュニケーションの土台

【コミュニケーションの土台】
コミュニケーション能力は、人生において他人と関わってきた量と質で決まると言っても過言ではありません。
生まれて数年の子どもにとって、他人とのコミュニケーションは本当に難しいものなのです。
コミュニケーションというのは、表現力、思考力、読解力といった様々な要素の組み合わせです。
その中でも「相手の気持ちになる」というのは、とても重要であると同時に、子どもにとって最も困難な課題かもしれません。
例えば、友人の飼っていた犬が交通事故で死んでしまったとします。
この時、「相手の気持ちになる」には3つのレベルがあります。
①表情が読める
友人の表情を見て、「悲しんでいる」とわかる、気づく。
②相手の立場に立てる
「飼っていた犬が死んでしまったのだから、きっと悲しい気持ちだろうな」と考えることができる。
③相手に共感できる
「彼には兄弟がいないから、犬を兄弟のように可愛がっていたかもしれないな」
「自分には兄弟がいるけど、もしかしたらその兄弟が亡くなったぐらい辛い思いをしているのでは」と想像することができる。
年齢にもよりますが、子どもにとっては①の段階ですらとても難しいことです。
この段階を身につけなかった場合、相手の気持ちを全く理解できないこともあります。
すると「似てる犬を買えばいいじゃない」などという発言を悪気なくしてしまうのです。
では、①の段階はどうすれば身につくでしょうか。
それは、喧嘩などのネガティブなものも含めた子ども同士の関わり合いです。
「友達を叩いたら泣いちゃった、叩かれたら痛かった」
「ちょっかいを出したら相手が不機嫌になった」
「この子、あの時と同じ顔してる」
そのような経験の積み重ねです。
特に子どもは喧嘩をしている時、相手の痛みや苦しみを学んでいます。
喧嘩は悪いことだといって、すぐに止めるのは逆に子どものためにならないのです。
子ども同士の関わり合いにいつも大人が介入していたら、子供は相手の表情や感情を読み取る力が身につきません。
子どもは、子ども同士の関わり合いの中でコミュニケーション能力の土台を作っていくのです。