正義と悪

【正義と悪】
一般的にこの二つは真逆の印象を持たれます。
「正義=良いもの」で、「悪=悪いもの」というイメージです。
しかし、少し哲学的な考え方をすると面白い世界が見えてきます。
正義と悪、善、それらはほんの紙一重の差なのかもしれません。
例えば、物を盗むことは悪です。
しかし、(大袈裟な例ですが)空腹で今にも餓死しそうな人にとっては、食べ物を盗んででも命を繋ぎ止める行為は哲学的には正義です。
また、スマホや電気自動車などのテクノロジーの発展は、人々の生活を豊かにする良いこと(善)です。
しかし、それらの製品に使われるレアメタル(リチウムやネオジウムなど)を採掘するためには、南米やアフリカの自然が破壊され、精製過程で発生する大量の有害物質によって土壌や川が汚染されますから、そういう視点では悪だとも言えます。
ひねくれた考え方にも思えるかもしれませんが、いずれにせよ正義が必ずしも善で、相反するものが悪であるとは言えないということです。
さて、この考え方が頭の片隅にあることで、子育てに役立つことがあります。
一言で言えば、子供の行動には子供なりの正義があるという事です。
乱暴をするのは、自分の尊厳を守るためかもしれません。
いたずらをするのは、好奇心が溢れた結果かもしれません。
嘘をつくのは、大切なものを守るためかもしれません。
悪いことをしてしまったからと言って、子供は悪ではありません。
ですから、「あなたは悪い子だ」と伝える必要はありませんし、「この子はダメな子だ」と思う必要もありません。
子供が悪いことをした時、まずはその行動の裏にどんな正義があったのかを想像することです。
そして彼らなりの正義を認めた上で、「それをすると困る人がいるよ」と伝えることができたのでなら、子供は自分の行動がどれほどの影響力を持っているかを学んでいくでしょう。
大切なのは、子供を親が考える正義の路線に従わせようとしないことだと思います。
善悪の捉え方が人それぞれあるように、子供には子供の善悪があることを知れば、我が子の悪行にも愛ある視線を送れるのかもしれません。