褒めるという高等技術

【褒めるという高等技術】
僕はこれまで10年、褒め方を磨いてきたと言っても過言ではありません。
子育てを含めたあらゆる教育において、褒めることにはポジティブな効果があります。
誰だって自分の成果や特技を褒められたら嬉しいものです。
しかし、褒めることにはリスクもあります。
「お世辞を言われたな」「本音じゃないな」と思われてしまったら、その子に湧き上がる感情は喜びではなく不信感です。
また、「褒められないとやらない」「褒めてもらうためにやる」というのも問題です。
これは、「ご褒美をもらうために勉強を頑張る」のと同じ、本来の目的から外れた行動です。
ではどういう時に、子供は褒められた効果を最大限に実感することができるのでしょうか。
それは、自覚がある時です。
「今、うまくいった!」と本人が感じている時に「おお、今の良かったな!」と言われると最高に嬉しいんです。
本気で頑張っている時に「頑張ってるな」と言われるから、「分かってもらえた」と感じるんです。
けれども、本人の感情は本人にしか分かりません。
「今の上手だったね!」と褒めても、本人は「いや、もっと上手くできるし」と思うかも知れません。
「ここがちゃんとできていたね」と褒めても、本人は「できてなかったよ」と感じているかも知れません。
子供の性格もありますし、その時の気分も関係します。
だから、褒めるというのは高等技術なんです。
かと言って、「今、褒めて良いのかな?」「どんな褒め方が本人にとってベストなんだろう?」などと、悩んでいても仕方ありません。
数を打つ必要があります。
ただし、がむしゃらに褒めてもダメです。
先ほども言ったように、リスクがあるからです。
子供の行動をよく観察する必要があります。
そして、褒められた子供がどんな反応をしたかにも注目する必要があります。
何より、嘘をつかないことです。
お世辞、おだて、仕向けに子供は気付きます。
上手くできてないのに、「うまい」と言わない、これは大事です。
とは言え、お世辞が心地よいと感じて、頑張れる子もいます。
人の心理は奥深いのです。
僕はこれからも、称賛という技術の深遠を探っていきます。