ちゃんとしなさいvsうざい

【ちゃんとしなさいvsうざい】
あるご家庭での話です。
玄関にランドセルを置きっぱなしにした子供に対して、親は「ちゃんと片づけなさい!」と注意をしました。
すると子供は、次の日リビングにランドセルを置きっぱなしにしたそうです。
親は、「なんでちゃんと片づけないの!?」と子供を追い詰めました。
子供は「うざい」と行ってランドセルを置いたまま、子供部屋に行ってしまいました。
「ちゃんと」という言葉は万能です。
万能が故に曖昧で、これだけで親の意図が子供に正確に伝わることはありません。
もしかしたらこの子は、自分なりに「ちゃんと」片づけようとして、リビングにランドセルを置いたのかもしれません。
少なくとも、注意をされたことで何かしらの改善をしようと試みたでしょう。
しかし、親が意図する「ちゃんと」には届かなかった。
さらにこの子は、ランドセル以外の物事でも、日々「ちゃんとしなさい」と言われ続けていました。
「ちゃんとする」が具体的にどうすることなのか、なぜそうするべきなのかが曖昧なまま、自分の行動に自信が持てなくなっていきます。
そしてついに、なんだか聞き覚えのある、最も軽率な言葉を使ってしまいます。
「うざい」は日本語のスラングで、「不快」「わずらわしい」など非常に多彩な意味を持つ言葉です。
万能で曖昧。
つまり自分の感情や意図が相手に伝わることはありません。
「ちゃんとしなさい」
「うざい」
曖昧な表現という点では、どちらも同じです。
曖昧な指摘をすれば、曖昧な答えが返ってくるのです。
子供の脳は、大人が考えている以上にずっと未完成です。
「何度も言っているのだから、そろそろ「ちゃんとして」で伝わるだろう」と思ってはいけません。
子供の行動が本当に間違っていると感じるのであれば、具体的な行動例とその行動がなぜ間違っているのかを説明してあげる必要があります。
何度でもです。
子供から「ねえ、ちゃんとして!」と言われても、「あなたの「ちゃんとして」はどうすることを言うの?」と思うはずです。
子供も親に対して同じ感情を抱きます。
言葉の表現力を養うためにも、丁寧な関わり方を意識していきたいですね。