本当に我慢をしてほしいのか

【本当に我慢をしてほしいのか】

幼い子供ほど、欲求に真っ直ぐです。

「我慢」という概念がありません。

触りたいから触り、走りたいから走り、行きたいところへ行きます。

では、これらの欲求を抑える自制の心はいつ獲得するのでしょうか。

発育上は、2、3歳頃から芽生え始め、5、6歳頃になるとより顕著に発達していくとされています。

ですので、小学校に上がる前の幼児期は、うまく我慢ができないのが普通です。

大人ですらなかなか我慢ができないのです。

それに、我慢することが良いことばかりとは限りません。

欲求を叶えるために、その方法を考え、倫理的に実行する力さえあれば、我慢など不要なのです。

さて、我慢というのは人に言われて獲得する力ではありません。

つまり「危ないから走るのを我慢しなさい」という指摘で、走りたい気持ちを制御する心は育まれないということです。

せいぜい、「走ろうとすると叱られるからもう諦めよう」という、挫折の心が育っていきます。

そもそも私たち親は、子供に我慢して欲しいのでしょうか。

冷静に考えたらそうではありません。

子供に状況を見て判断できるようになって欲しいのです。

「これを触ったら危ない」

「ここで走ったら人にぶつかる」

「あの高さから落ちたら怪我をする」

そういう判断力を育てたいのではないでしょうか。

行動をコントロールできないのは、情報不足が原因です。

では、その「情報」はどうやって獲得するのでしょう。

それは経験です。

「走って転んで痛かった」

「友達にぶつかって泣かせちゃった」

「ぶつかった友達に怒られた」

このように、自分の行動と結果を結びつける中で、判断力が養われていくことは間違いありません。

我々親は、子供にある程度痛い思いをさせたり、人に迷惑をかける経験を積ませる勇気が必要なのです。

そして同時に、多くの子供たちから迷惑をかけられることも受け入れなければなりません。

子供に必要なのは我慢ではなく、経験です。

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