最期に残るのは

【最期に残るのは】
人間というのは時が経つにつれてシワが増え、いつか必ず最期を迎えます。
今でこそ、私は子供たちに数々の技を見せることができます。
しかし、あと30年も経てばバク転が精一杯なもので、仕舞いには何もできなくなります。
青春の全てを、人生のほぼ全てを捧げて身につけてきた技術が、最期には何も残らないのです。
そもそも10年前と比べたら、できる技で言えば既に全盛期の3割程度でしょう。
では、私の価値は下がっているのかといえば、決してそのようなことはありません。
失う以上のスピードで、別の何かを得ているからです。
それは、補助の技術かもしれませんし、伝える力かもしれませんし、教育の知恵かもしれません。
けれども最後の最後には、それすら手放すことになるでしょう。
結局自分の手元に残るのは、思い出だけなのです。
ある時読んでいた本に、「あの世に持っていけるのは思い出だけ」という言葉に出会いましたが、本当にその通りな気がします。
人生とは思い作り。
どれだけ能力を失っても、これだけは失われません。


