普通じゃないことが当たり前

【普通じゃないことが当たり前】
1879年、彼はドイツ南部の小さな街ウルムで生まれました。
数年後、両親はある悩みに頭を抱えます。
息子が2歳を過ぎたというのに、いっこうに言葉を口にしないのです。
それは4歳になってからも変わらず、なんと10歳になってもあまり変わらなかったといいます。
たくさんの医者に診せましたが、それでも状況が好転することはありませんでした。
しかし、集中力を発揮する点において、彼は誰にも負けませんでした。
何時間でも積み木に熱中し、トランプを使って14階建てのタワーまで作りました。
言葉を上手く発しませんでしたが、一つのことを根気強く続けられる少年だったのです。
その後、徐々に言葉を話し始めたかと思うと、みるみるその不自由は改善しました。
彼は学校が嫌いでした。
何事も1人で集中して物事を探究したい少年は、厳しくしつけようとする先生が大の苦手だったのです。
けれども本は好きでした。
本は知識を無理やり押し付けてきませんし、知りたいことをいつでも知ることができるからです。
特に好きだった本は、「みんなの自然科学」という本でした。
子供向けに書かれた科学の本は彼を熱中させ、中でも「光」という存在は少年の好奇心をくすぶりました。
そして、光の力学について根気強く考え続けた彼は、その後相対性理論の発見により世界に名を轟かす偉大な科学者となります。
その偉大な科学者の名は、アルベルト・アインシュタインです。
後年、アルベルトは「私は言葉で物を考えることがほとんどない」と口にしています。
言葉を話さなかった生まれてからの10年間、彼は言葉以外の何かを全身で感じ取っていたのでしょう。
そして言葉を発するようになってからも、言葉ではない感覚で物事を考えていったのです。
さて、「普通の人」などいません。
誰もが、普通以外の何かを、足りない何かを、そして他人以上の何かを持っています。
それは、見方によっては異常であり、障害とされます。
一方、見方によっては才能であり、武器となります。
きっと考え方の違いなのです。
人と違うから価値があり、それが交わるから大きな力を生み出せるのではないでしょうか。


