子供は思い通りにならない

【子供は思い通りにならない】
長年指導者をやっています。
我々指導者が、一般的にどんな心理を抱えているかというと、「子供をコントロールできない指導者は無能」というプレッシャーです。
「生徒が先生の言うことを聞かない」
これ、指導者は一番不安なんです。
そして保護者も、「この先生は腕が悪い」と評価するかもしれません。
じゃあどうするかと言うと、数十年前なら絶対に逆らえないように怖い先生になります。
「生徒が逆らえない怖い先生」こそ”腕のいい先生”で、若い先生たちや保護者から尊敬されるのです。
しかし、今はそれが難しいですから、「優しく声をかける」など、それ以外の様々な手法を使って行動を促そうとします。
結局、やろうとしていることは同じです。
子供をコントロールしようとしているのです。
子供の立場からすれば、叱られて強制的にやらされているか、優しく促されているかの違いであって、「大人からコントロールされている」という根本は変わりません。
そこにあるのは、「逆らえない」か「逆らえる」かの違いです。
で、どうなったか。
子供は先生の言うことに逆らえるようになった、それだけです。
このシンプルな変化が、現代の教育現場で起きています。
それによって、さらに何が起こっているか。
先生が鬱になって退職する事例が増えています。
子供をコントロールできないから、学級を崩壊させてしまい、それに耐えられず精神を病んでしまうのです。
実際にデータが出ているのは学校の教員に関してのみですが、習い事の現場でも同様のことが起きています。
問題は先生の言うことを聞かない生徒でも、生徒をコントロールできない先生でもありません。
多くの大人が抱えている、「大人は子供をコントロールしなければならない」という深層心理です。
皆、口では「子供をコントロールすべきではない」と言いますが、実際にコントロールできていなかったら不安なのです。
私たちの多くは、大人という絶対的な存在に逆らわず、ある意味コントロールされながら育ってきました。
ですから、自分が大人になった時、子供をコントロールできないことに強い不安を感じるのだと思います。
これらを踏まえた上で、私は今一度言います。
子供は大人の思い通りにはなりません。
思い通りにならないことに不安を感じるというのは、不要な悩みを作り出しているということです。
危ないこと、やってはいけないこと、子供がそういうことをした時は、自信を持って伝えればいいでしょう。
しかし、何かをやらせようとした時、最終的にやるかやらないかを決定するのは子供です。
大人が絶対にやらせなければならないことなんてありません。
親も先生も大変だと思います。
数年で時代が大きく変わりましたから、当然かもしれません。
だからこそ、本質に立ち返る必要があります。


