どちらが親切なのか

【どちらが親切なのか】
先日、スタッフのさやま先生と、子供への言葉の使い方について話しました。
子供に分かりやすいように、簡単な言葉に言い換えた方がいいのか。
それとも、理解が難しくとも、その場に最も適切な言語を使った方がいいのか。
こんな事例がありました。
幼稚園で生徒が整列をしている時の話です。
先生が「前に詰めてください」と指示を出しました。
ある生徒が「先生、前ってどっち?」と質問しました。
そしてある生徒は、「何をつめるの?」と言いました。
確かに、先生の考える「前」がどの方向を指すのか、「詰める」という言葉が何を意味するのか、理解できない子がいても納得です。
私はこの話を聞いた時、「最高じゃないか」と思いました。
時間があるなら、是非とも子供たちにこう聞き返して欲しいです。
「今、先生が言った”前”はどっちのことを言っているでしょう?」
「”詰める”とは、何をすることでしょう?」と。
これには、『相手の意図を考える』という力と、『日本語の絶妙なニュアンスを知る』という二つの教育的価値があります。
子供に分かりやすいように言うなら、「〇〇先生がいる方に、お友達との間を少し狭くするよ」と言うのが親切かもしれません。
さらに、「〇〇ちゃん、もうすこし〇〇くんの方に行って」と個別に伝えれば、子供は理解できます。
しかしここに、相手の気持ちになって物事を考え、知らない言葉の意味を想像する経験はありません。
もちろん子供の年齢にもよりますが、理解の難しい言葉を使うことには、大きな価値があると思います。
大人の指示に対して、「え、何それ。どう言う意味?」と疑問を持つというのは、貴重な刺激です。
その時の状況と照合させて、「あ、これのことね。」と理解し、歯車を噛み合わせていくことで、さらに高度な思考へとつながっていきます。
最初の問いに戻ります。
子供にとっては多少難しくとも、その場に対してより適切な言葉を使うというのは大事なことです。
必要に応じてその言葉の意味を教えてあげたり、自ら答えを導き出させることは教育の一環なのです。
これは、子供に対する親切だと私は思います。


