それは本当に自分の気持ちなのか

【それは本当に自分の気持ちなのか】
私は幼い頃、虫が好きでした。
暇があれば、子供向けの昆虫図鑑をめくっていました。
身近な虫の名前はよく知っていたので、そんな私を見て、祖父はいつも「翔平は昆虫博士になるか」と笑顔で話してくれました。
しかし、「虫」に対する世間のイメージは、一般的にあまり良いものではありません。
農作物を食べる虫は、農家さんにとって敵です。
祖父の家はぶどう園をやっていましたから、食害をする虫は駆除対象になります。
作物を食べない虫であっても、刺すもの、毒を持つもの、顔の周りを飛び回るもの、大量発生するもの、景観を損ねるもの。
こうした虫は、総じて人に害を及ぼすとして、害虫になります。
この、虫に対するイメージは、確実に幼い私にも浸透していきました。
いつの間にやら、私にとって虫は、おぞましく、けがらわしいものへと変わっていったのです。
しかし、どうでしょう。
私は本当に虫が嫌いなのでしょうか。
きっと、そうではありません。
みんなが嫌いだから、私も嫌いになることにしたのです。
みんなが「気持ち悪い」と言ったから、私も「気持ち悪い」と思うようにしたのです。
本当の私は、虫が好きだったのですから。
こんな勘違いに気づいたのが、数年前のこと。
今では、息子たちを連れて昆虫採集に行くのが楽しくて仕方ありません。
このように遠回りをして、自分の本当の気持ちに気づくのですから、人間とは面白いものです。


