いったん聞く

【いったん聞く】
自分の意見を言える子と、言えない子の違いはどうして生じるのでしょう。
まず、生まれ持った性格の違いが考えられますが、ひとまずそれは考えないこととします。
後転的に、「自分の意見が言えなくなる子」が少なからずいます。
反対に、「だんだん自分の意見が言えるようになる子」もまた存在するのです。
これは、生まれ持った性格の差ではなく、子供の育つ環境によって影響された結果です。
なぜこうした差が生じるのか、考えていこうと思います。
理由はいたって単純。
自分の意見を「どのような態度で聞いてもらえたか」です。
そもそも、生まれながらにして、要求を我慢するという子供は存在しません。
お腹が空いた時、オムツが汚れた時、暑い時、眠い時、必ず泣いて要求を訴えます。
そして親もまた、その要求を聞いてくれます。
しかし子供は、成長するにつれて要求が高度になります。
「もっとお菓子が食べたい」「面倒だからやりたくない」「ずっとゲームをしていたい」
それらの要求は、必ずしも満たされるとは限りません。
むしろ、上記のような要求は、多くの場合否定されることになるでしょう。
ここで、「もう、何を言っても無駄だ」と思うようになるのか、「次はどう交渉しよう」と思うようになるのかが、分かれ道なのです。
何かを要求した時、二つ返事で否定され続けたとしたら、子供は「自分の意見が尊重されることはない」と学ぶでしょう。
例えば、子供が「お菓子を食べたい」と言ったとします。
その時、「もうご飯だから我慢しなさい」というのが、二つ返事で否定するということです。
必ずしも、これが悪いわけではありませんが、あらゆる要求がこうした二つ返事の否定になっていたとしたら、やがて子供は「意見を言わない子」に育ちます。
一方で、子供の出した要求に対し、「望んでいる」という事実を受け入れ、否定しなければならない理由を説明したのなら、状況は一変します。
先の状況で言うのなら、まず返答は「お菓子が食べたいんだね」で良いということです。
「もう、ご飯の時間だから、お腹空くよね」と気持ちを察したり、「お腹が空いたの?」と気持ちを聞いても構いません。
大切なのは、「子供の望んでいる内容」をいったん聞くという態度です。
もしも否定をするのなら、その後です。
「あと30分でご飯ができるから、それまでお腹をぺこぺこにしておいて」と言ってもいいですし、
「3時のおやつも食べたから、食べ過ぎは体に良くないからね」と理由を説明するのも良いでしょう。
こうして、要求を聞いてもらえた子供は、まず「自分の意見を言ってもいい」という前提を手に入れます。
そして、「なぜ要求が通らなかったのか」を知り、「どうすれば要求が通るのか」を考えるきっかけにもなります。
このような関わり方の違いが、「意見を言える子」と「意見を言えない子」の差を作るのです。
自分の意見が言えない状況は辛いです。
それは、子供が成長した時や、大人になった時にその子を苦しめるかもしれません。
ですから、我々親は、できる限り「子供が自分の意見を言える環境」を作ろうとする心がけが必要なのだと思います。


