約束の罠

【約束の罠】

私は、親は子供と、安易に「約束」をすべきではないと考えています。

なぜなら、親子の関係は「信頼」のもとに成り立っていなければならないからです。

もしも、親が自分の言いたいことを強調するために「約束」が必要なら、「約束していない」言葉は、信頼に足りないことを事実上認めることになります。

一つ例を出します。

週末ピクニックに行くことを約束された子供は、非現実的な期待を膨らませることがあります。

その日は雨が降らず、親に急用が入らず、兄弟も自分も病気にはかからないことが確約されたと考えるのです。

しかし人生に不運はつきもので、何が起こるかわかりません。

もしも何らかの事情でピクニックに行けなくなった時、子供は裏切られたと思い、親は信頼できないと確信することになります。

どんな事情であれ、親は約束を破ったのです。

その原因が、子供にあったとしてもです。

そして何より、子供に対して「行儀よくふるまう」とか、「今後はいたずらをしない」などという約束をするべきではありません。

子供はしたくもない、できもしない約束をさせられると、空約束をすることになります。

このような、安易な空約束の繰り返しは、親子の信頼関係を徐々に低下させていきます。

ではどうするべきなのか。

もしも、「約束」という言葉を使ったのなら、必ず守らなければなりません。

「約束」とは、いざという時は破っても良いという、そんな軽いものではないのです。

ですから、遂行できない可能性がある物事を、約束してはなりません。

そして、同様の物事に対して、子供から「約束して」と迫られたら、理由を添えて「約束はできない」と答えなければなりません。

その上で、親子関係において必要なのは、約束ではありません。

可能な限り自分の言葉に責任を持ち、可能な範囲でお互いの希望を聞き入れ、それを行動で示す習慣です。

口にした言葉と願望に偽りがなく、時に不運が降りかかった時は、それを共に受け入れようと努める態度です。

こうした心がけを続けることができれば、親子はお互いを「望み通りにはならないけど、信頼できる存在」だと思えるはずです。

約束は拘束的であり、信頼は開放的です。

後者こそ親子に必要なものだと、私は考えます。

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