幽体離脱と脳科学

【幽体離脱と脳科学】

「幽体離脱」と聞くと、オカルト的な印象を受けるかもしれませんが、脳科学界では実に興味深い研究が続いています。

解明するに至らずとも、幽体離脱を再現することはすでに可能なのです。

少し話はそれますが、「脳地図」と呼ばれるものがあります。

どの脳の部位が何を担当しているのかを示した地図です。

被験者の意識がある状態で、脳の表面を直接電気刺激していくと、さまざまな感覚や筋肉の動きが生じます。

それを本人に実況中継してもらうのです。

ある場所を刺激すると耳に何かが触れた感じがしたり、また別の場所を刺激すると視野に光が見えたり、昔の記憶が蘇ったりします。

こんな実験を繰り返すと、どの脳部位が何を担当しているかという「脳地図」が描けるというわけです。

ペンフィールドのホムンクルス

さて、幽体離脱に話を戻します。

同様の実験で、左側の側頭、頭頂接合部を刺激すると、被験者は部屋に誰かがいる気配を感じます。

「すぐ背後」にその存在を感じるようです。

この現象をさらに詳しく調べた結果、どうやら、その「誰か」は刺激された当人に他ならないことを確認しました。

心をそのままに、体の位置が背後にテレポートしたとも表現できます。

さらに、右側の頭頂葉にある「角回」と呼ばれる部位を刺激すると、被験者の意識は2mほど舞い上がり、天井付近から「ベッドに寝ている自分」が部分的に見えると言います。

まさに、幽体離脱です。

幽体離脱は健康な人でも30%が体験するというデータもあるようですが、一生に一、二回程度か生じないことから、オカルト的な迷信性を帯びるようです。

ところが、脳に電気刺激を与える実験においては、刺激するたびに幽体離脱が生じるわけですから、これが迷信ではないことは明らかです。

ではなぜ、脳は幽体離脱する機能を備えているのでしょうか。

機能があるということは、意味があります。

これは、言うなれば「俯瞰力」です。

あるサッカー選手は、プレイ中に上空からフィールドが見え、有効なパスのコースが読めるといいます。

さらに言えば、自己を客観的に評価し、自分の振る舞いを省みる「反省」も、他者の視点から自分を眺めることが必要です。

このことから、幽体離脱の脳回路は俯瞰力のために備わっているのかもしれないという仮説があります。

ただ自分のいる世界を眺めるだけでなく、他人の視点から自分を見る力。

それは、人類が進化の過程において、生き残るための力として、脳に携えた機能に他なりません。

それは時に、意識が肉体を離れて、実際に自分の姿を見せるほどの力を発揮することすらあります。

信じられないような、本当の話。

みなさんは、幽体離脱をしたことがありますか?

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