集中は良いことなのか

【集中は良いことなのか】

私はこれまで、「集中」について多くを学んできました。

すると、面白い見解をよく耳にします。

集中することは、本来動物にとって”不自然”なことなのです。

「集中」とは、周囲に乱されることなく、一点に意識を集めることを意味します。

では、野生の動物を想像してみます。

シマウマが草を食べることに集中したらどうなるでしょうか。

そんなことをしたら、肉食動物の格好の餌食です。

野生動物たちは意識の一点集中を避け、むしろ意識を周囲に分散させながら外敵に注意する「分散力」を必要とします。

ですから、彼らはむしろ集中しないようにする「非集中力」を発達させてきたのであり、その能力に長けた動物たちが生き残ってきたわけです。

さて、そんな彼らの末裔が私たち、ヒトです。

人間社会では、仕事にしても勉強にしても、集中することが賞賛の対象となります。

かくいう私も、長年の体操競技歴において「集中力」をとにかく磨いてきたつもりでした。

しかし、何が目的なのかを今一度考え直さなければなりません。

私たちは集中することが目的ではありません。

学ぶこと、問題を解くこと、業務をこなすこと、上達すること、試合に勝つことが目的であり、「集中」は手段です。

言い方を変えれば、目的を果たすことができるのなら、別に集中せずとも良いのです。

さらに言うと、物事は熟練すると、集中を不要とすることがしばしばあります。

例えば私は、倒立をしながら会話ができたり、説明をしながら技をすることができたりします。

お手本を見せる時も、子供が近づいて来てしまったら、それを察知して中断することができます。

私は仕事中、集中などしておらず、常に意識を分散させ、さまざまな不測の事態に備えていると言うこともできるわけです。

さて、今回の話は、集中が悪いことだと言いたいのではありません。

集中することが不要だと言いたいのでもありません。

物事に取り組む時、意識が分散するのは自然なことであり、目的を果たすためであれば、必ずしも集中する必要はないということです。

「集中するのが苦手」という人は、無理に集中しようとせず、意識を分散させて物事に取り組むのは悪いことではないということです。

大切なのは熟練なのだと、私は思います。

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