見返りを求めない教育投資

【見返りを求めない教育投資】
皆さんは、「サンクコスト」という言葉をご存知でしょうか。
これは、別名「埋没費用」と言い、過去に払ってしまい、回収することができない費用(コスト)のことです。
したがって、将来に関する意思決定をする場合は、サンクコストにとらわれず、今後の損益を考えて行動するのが合理的な判断になります。
要は、これまでに費やしてきた労力や時間、お金などのコストにとらわれ、「もったいない」という心理が働き、今後の決定に悪影響を及ぼすのは避けなければなりません。
さて、子育てにはお金がかかります。
もちろんそれだけでなく、多大な労力と時間をかけて、親は子を育てるものです。
子育てというのは、親の全てを全投入して挑む人生のビッグプロジェクトです。
「全て」というのは、文字通り、持てる力の全てになります。
体力、気力、財力、情熱、知恵、愛情、厳しさ。
それらは、我々親が支払うコストだと言えるでしょう。
その上で、これらを全投入して向き合ったとしても、納得のいく成果が得られるとは限りません。
しかし、それを理由に子供をなじるのはお門違いというものです。
子供には、「そんなことは頼んでない」と言われてしまうのがオチでしょう。
これが原因で対立が生まれてしまったら、そんなに悲しいことはありません。
これこそが、サンクコストの罠なのです。
「あんなに愛情を注いであげたのだから」
「あんなに大変な思いをして育てて来たのだから」
「あんなにお金を投資してきたのだから」
「だから、それ相応の成果を出してほしい」
「望んだ通りに育ってほしい」
こうした感情は、誰の中にも潜んでいます。
けれども、その心にとらわれてしまったら、すれ違いが生じます。
私たちは、物事を短期的目線で捉えがちです。
5歳までに行った教育が、10歳までに花開くと想像します。
たしかに、そうしたこともあるかもしれません。
ですが、多くは違います。
子供に対して行った教育投資の多くが花開くのは、子供が親の元から離れた後です。
つまり、親の目には映らないのです。
親の教育投資が、親に返ってくることはありません。
では、かけたコストはどうなるのでしょう。
それは、次の世代に引き継がれていくのだと、私は思います。


