叱った方がいいのか、褒めた方がいいのか

【叱った方がいいのか、褒めた方がいいのか】

「叱らない子育て」というキーワードが主流となった現代において、親と子、先生と生徒、上司と部下、あらゆる上下関係はデリケートなものとなりました。

叱ることが悪で、褒めることが善というイメージが蔓延しています。

例えば、「<叱る依存>が止まらない(村中直人)」という本では、叱ることの危険性が科学的に指摘されています。

他にも、「怒らない子育て(嶋津良智)」「子どもも自分もラクになる どならない叱り方(伊藤徳馬)」「子供が育つ魔法の言葉(ドロシー・ロー・ノルト)」「叱らない子育て(岸見一郎)」といった、数々の書籍において、親は叱ったり怒ったりするのではなく、穏やかな心で子供と向き合う大切さが説かれています。

かくいう私も、ほとんど子供を叱ることのない人間です。

一方で、叱られないで育った子供は、忍耐力がなく、社会に出た時に困るだろうという指摘もあります。

これは、真っ当な意見です。

では、私たちはどうすればいいのか。

現代教育の問題点は、「叱らない方がいい」「ほめた方がいい」という漠然とした、決して抗えない流れにあります。

学校の先生は子供に逆らえず、親は子供を叱ったらダメだと思い、上司は部下を丁重に扱わなければやめられてしまいます。

そして、ほめれば物事が良い方に進むと信じ、叱りたい気持ちを我慢します。

こうした、「とにかく叱らず、ただほめればいい」という教育の行く末は悲惨なものとなるでしょう。

本質がブレているのです。

教育(子育て)において大切なのは、「伝える」姿勢を持つことです。

子供が悪いことをしたのに、ただ叱るのを我慢し、褒めるポイントを探すというのは教育放棄です。

私たちは、叱る以外の方法で「あなたは悪いことをした」と伝えなければなりません。

その行動の中に、本当に褒めるに値する部分があったのか、自分の対応によって、子供の将来が良い方に向かう根拠があるのかを、真剣に考えなければなりません。

上にあげたような数々の書籍で指摘されているのは、「叱る」ことによって「伝わらない」自体を避けなければならないということです。

要は、「あなたの、その叱り方では、本当に伝えたいことは伝わりませんよ」という『技術』の話をしているのです。

その『技術』というのは、子供の年齢、各自の性格、状況によって伝え方を変える能力のことを指します。

さらに言えば、その伝える力は、伝える人の人望に左右されます。

言う人が変われば、同じ言葉を言っても、聞く人によってはそれが熱く心に響いたり、皮肉に聞こえたりします。

どんなに大声で叫んでも伝えられない人もいれば、静かに言うだけで伝えられる人もいるのです。

「叱らない子育て」とは簡単なものではありません。

高度化した社会における、進化したコミュニケーションの形と言えます。

それは、私たち一人ひとりが、少しずつ身につけていかなければならないものだと私は思います。

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