痛みに立ち向かえ

【痛みに立ち向かえ】
私は幼い頃から体操をしていましたが、小学校高学年ぐらいから、さまざまな関節痛に悩まされるようになります。
体操競技というのは、数あるスポーツの中でも特に怪我や故障の多いものです。
私の場合は、結局27歳で引退するその日まで、手首と腰の痛みと付き合いながらの競技生活となりました。
専門用語になりますが、それぞれ「尺骨突き上げ症候群」と「腰椎分離症」というスポーツ障害になります。
突発的な怪我ではなく、常に痛いという慢性的な障害です。
こうしたスポーツ障害は、私だけにあった特別なものではなく、ほとんど全ての競技者が抱えていた問題と言えます。
捻挫や骨折ならば、適切な処置をして安静にしていればほとんどの場合が完治して元通りに運動できます。
しかし、慢性的な障害というのは、正直スポーツをやめるぐらいしか逃れる方法がありません。
つまり、競技を続ける以上、付き合っていかなければならない課題です。
激しい痛みが出た時は、もちろんその箇所を冷やして安静にするしか無いのですが、それだけでは同じことの繰り返しになってしまいます。
ではどうするのか。
「手首が痛い」「腰が痛い」と悩む私に、大人は何をさせたか。
私が出会った一流の指導者、一流のトレーナー、手首や腰の専門家の方々は口を揃えてこう言いました。
「筋肉を鍛えなさい」と。
子供が「痛い」と言ったら、痛いことはやめ、休ませるのが普通だと思うかもしれません。
しかし、痛む→休む→痛む→休むの繰り返しでは、怪我をしやすい弱い身体を作るだけです。
競技力向上どころか、現状維持も難しいでしょう。
だからこそ、痛む箇所を鍛えるのです。
私の場合は、握力を鍛え、体幹を鍛えるということになります。
こうした予防的取り組みが、怪我に対抗し、強い身体を手に入れるための唯一の方法なのです。
筋力を強化した結果、言われた通り痛みは軽減し、私は最後まで自分の怪我と付き合いながら競技生活を終えることができました。
さて、このことは、あらゆる物事に応用できる考えだと思います。
風邪に対する免疫、苦手な人間関係、難しい仕事、育児や家事、暑さや寒さ。
人生は痛み(苦しみ)の連続です。
それらをテクノロジーや工夫で、その都度避けることはできるかもしれません。
それが悪いとも思いません。
しかし、避けているだけでは、また同じ痛みが訪れた時、同じように苦しむことになります。
なので私は、痛みを感じた時こそ、「筋トレだな」と思うようにしています。
痛みに対抗できる強さを手に入れた方が、結果として楽なのではないか、そんな気がするのです。
もちろん、筋肉だけを鍛えるわけではありません。
筋肉を鍛える様に、あらゆる角度から心を鍛え、痛みに立ち向かうということです。
そんな「筋トレ思考」で、私はこれからも生活していきます。


