時に寄り添い、時に突き放すのが子育て

【時に寄り添い、時に突き放すのが子育て】
子育てにおいて、私たちが頭に入れておくべきことに、「国民性」があります。
欧米とアジアの価値観は大きく違います。
ですから、アメリカの子育てを日本で取り入れようと思っても、なかなか思うようにはいきません。
例えば、アメリカではスキンシップを大切にし、言葉で感情を明確に表現する文化があります。
具体的には、ハグやキス、別れ際の「愛してる」という言葉などです。
このような態度は確かに見習うべき点があり、私たちが生活に取り入れることで、子供に対して今以上に愛情を伝えることができるかもしれません。
そもそも、なぜ愛情表現が必要なのかを考えてみましょう。
「あなたのことを愛している」という主張は、子供にとってなぜ必要なのか。
それは、子供が外の世界で様々なことに挑戦し、苦しみを乗り越え疲弊した時に、親という存在が帰ってくる場所、いわば『安全地帯』となるためです。
つまり愛情表現は、子供の「自信形成」や「自立」を目的としているという点を忘れてはいけません。
このことから、アメリカでは直接的な愛情表現が”必要な理由”があるのではないかと考えることができます。
なぜアメリカにはこうした文化があり、日本にはこのような文化が無いのでしょうか。
その背景に目を向けてみましょう。
それは、母子分離文化の違いにあります。
日本では当たり前のように、親子が同じ寝室で睡眠をとり、一緒にお風呂に入る文化があります。
しかし、アメリカやイギリスでは、そのような習慣はありません。
「子供は1人で寝るもの」という意識が強くあり、アメリカでは生後4ヶ月ごろから別室、イギリスでも生後6ヶ月ごろから別室というのが一般的です。
また、お風呂に一緒に入るという文化はありません。
特に異性の親子が一緒にお風呂に入ったとなれば、「児童虐待」とみなされる場合もあります。
たとえ親子であっても、プライベートな部分を他人に見せることはしないのです。
このように、日本では睡眠時と入浴時に親子のスキンシップを深め、欧米では日常会話で愛情を伝え合うという根本的な違いがあることが分かります。
親子関係というのは、あるところでは突き放し、あるところでは寄り添うというバランスが大切なのだと思います。
最初に言ったように、子育ての目的は子供の「自立」であることを忘れてはいけません。
突き放し過ぎれば自立の妨げになりますし、寄り添いすぎもまた子供の自立を妨げるのです。
日本人に欧米文化のようなコミュニケーションは不要、などと言いたいわけではありません。
欧米の真似をしても上手くいかないと決めつけたいわけでもありません。
異文化の良いところを取り入れようとする時、良いところ取りができるわけでは無いということです。
そして、私は日本的な「察する」という非言語的コミュニケーション、「背中で語る」という厳しさが好きです。
欧米文化に興味が惹かれるとともに、我が国の子育て文化も、改めて美しいと感じました。


