Use it or Lose it.

【Use it or Lose it.】
これは、アメリカのことわざのようなものです。
直訳すると「使うのか、それとも失うのか」となります。
つまり「使わないものは衰える」という意味です。
約60年前にアメリカである実験が行われました。
健康な20代の男性を約3週間寝たきりにし、その後8週間の有酸素運動によって体力を回復させるというものです。
3週間のベッドレストによって、心拍出量、血液量、筋力などが劇的に減少し、最大酸素摂取量(体力)が平均27%も減少したことで、脳機能にも明らかな悪影響が確認されました。
たった3週間で、まるで老化したかのような生理的な衰えが見られたのです。
幸い8週間のリハビリによって、それぞれの数値は元の状態まで回復しました。
この実験はまだ終わりません。
30年後、50代になった当時の被験者を再検査しました。
すると、彼らの加齢による最大酸素摂取量の低下率は約11%でした。
要するに、たった3週間運動をしなかったことによる身体機能の衰え(27%低下)の方が、明らかに低下率が高かったのです。
実験はこう結論づけられました。
「たった3週間寝たきりになることは、30年間老化するよりも体を衰えさせる」
この実験は「運動」に焦点を当てていますが、「使わないものは衰える」という原則は、全てのものに当てはまります。
私たちの脳は非常に複雑で高性能ですが、その一方、とてもシンプルで容赦がありません。
なぜなら、使わないシナプス(脳回路)は物理的に切り捨てるからです。
運動をしないのなら運動能力は不要とし、人と関わらないのならコミュニケーション能力を不要とし、考えないのなら思考能力すら不要とします。
この容赦ない断捨離こそが、脳の合理性なのです。
我々の司令塔である脳は、使わないものをいつまでも取っておいてはくれません。
だからこそ私たちは、こう問い続けるべきなのです。
Use it or lose it.
あなたは使うことを選ぶでしょうか。
それとも、失うことを選びますか。


