運動能力は遺伝か

【運動能力は遺伝か】

そう問われたら、そうとも言えるし、そうで無いとも言えます。

まず、「運動能力」と言うのは、筋肉の質(体質)、身長や体重(体格)、積極性(性格)といった『遺伝的要素』が確実に関係しています。

一方、自分の体(筋肉)をどれだけ器用に操れるかという視点で見れば、後天的な熟練度の話になってくるでしょう。

その上で私は、運動能力とは後天的な要因、つまり育つ環境や出会う人、挑戦することや努力すること、一生懸命練習することの方が圧倒的に影響が大きいと考えています。

例えば空想の存在として、オリンピックで別々の10種の競技で金メダルを獲得した男性と女性の間に子供が産まれとします。

特殊な機械を使って赤ん坊の体質を調べたところ、筋肉の質や骨密度、体節のバランスなどが人類史において未だかつて無いほど優秀であることがわかりました。

まさに遺伝的な天才児です。

しかし両親は、この天才児を世界で一番脆い存在のように扱いました。

部屋中をクッションと柔らかい地面で覆い、家の外に出た時は身体中に防具を装着しました。

段差の上に登るなど、少しでも危ないことをしようものなら厳しく叱りつけました。

身の回りの世話は両親がほとんどやり、子供は何不自由なく成長しました。

子供は神経系(運動能力)の発育がほぼ完成する時期まで、この調子で育てられました。

さあ、この遺伝的天才児の運動能力はいかほどでしょう。

きっと、道でつまづいて大怪我をするレベルではないでしょうか。

全く逆の考え方をすることもできます。

これまた空想の話で、先ほどの特殊な機械で調べた結果、障害こそないものの、遺伝的に見て人類史上最悪の運動能力を持っていると診断された赤ん坊がいたとします。

ところが、この子の育つ環境は大自然の中でした。

ハイハイしかできない頃から岩場や川で遊び、歩けるようになる頃には両親に連れられて小舟で漁に出ていました。

薪を集めて火を焚いたり、遠くの川から水を運んだり、木に登って実を取ったりする生活を毎日続けました。

さて、この子の運動能力はどれほどのものでしょうか。

おそらく、並外れた体幹、腕力と脚力、動体視力、瞬発力、筋持久力を兼ね備えていることでしょう。

これは大袈裟な例に思うかもしれませんが、紛れもない事実です。

どれだけ遺伝的に優れた能力を持っていても、それだけで運動能力は決まりません。

能力というのは、使うから高まっていくのです。

私たちが前提を持たなければならないのは、「持っているものをどう使うか」です。

持って生まれたものはひとりひとり違うかもしれません。

しかし、大した差など無いのです。

どうせ皆、最初は何もできない未熟な存在なのですから。

何を持って生まれるかより、どうやって成長していくかの方が格段に重要だと私は思います。

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