感情のグラデーション

【感情のグラデーション】

イヌイットの人たちは、「寒さ」を表現する形容詞を約50種類持っているそうです。

日本語では、「寒い」「涼しい」ぐらいしか私は思いつきません。

どうするかといえば、「かなり寒い」「凍えるほど寒い」「寒いを通り越して痛い」など、言葉を修飾することで程度を表現します。

これで特に不便をしません。

ではなぜ、イヌイットの人たちは「寒い」というだけで50種類もの言葉の表現が必要なのか?

その理由は、彼らの住むカナダ北部やグリーンランドの気温が、1ケタからマイナス40度まで変化するからです。

0度の「寒い」とマイナス10度の「寒い」は違いますし、マイナス20度の「寒い」とマイナス40度の「寒い」も明らかに違います。

寒さの中にも、実際にこれだけの差があるからこそ、表現する言葉の種類も必然的に増えていったと考えられます。

このように言葉の種類、つまり表現の幅があると、物事の程度が相手に正確に伝わります。

もしも日本人が、イヌイットが住む氷雪地帯行ったら、きっと表現に困るでしょう。

「え?ちょっと待って、まじで、やばいんだけど」

「これは寒いとか、そういうレベルじゃない」

「無理無理、◯んじゃう」

この通り、うまく表現できない事態となります。

表現できないということは、それを他の誰かに伝えることもできないということです。

日本で生活する上で寒さの表現は不要かもしれません。

では、感情の表現はどうでしょう。

「怒り」「喜び」「悲しみ」「不安」「恐怖」「尊敬」「感謝」

そういう感情の程度は、グラデーションです。

言葉の表現の幅を持っていなければ、自分が今「どの程度」その感情なのかを相手に伝えることも、自分で理解することもできません。

ですから、言葉は大事なのです。

子供というのは、言葉の表現が未熟です。

つまり、自分の感情をうまく伝えることができません。

「伝わらない」というのは苦しいことです。

彼らは日々、「伝わらない」ことに悩んでいる存在だということを、我々大人は理解してあげなければなりません。

感情を汲み取ってもらい、表現の仕方を教わることで、子供は安心を獲得していきます。

言葉を教えるというのは、子供を救うことになるのです。

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