どれだけ恵まれているか

【どれだけ恵まれているか】
僕は幼い頃から、体操をしていました。
本格的に始めたのは小学生で、充実した設備の中で9年間練習をさせていただきました。
その後高校では体操部専用の体育館があり、
大学の体操場は国内でもトップクラスの設備でした。
社会人になって所属した実業団も、最高の練習環境が整っていました。
小さい頃はたくさんの大人に「自分がどれだけ恵まれているか考えなさい」と言われました。
しかし僕は自分が恵まれていることの実感がありませんでした。
それだけ当たり前のように、目の前に体操ができる環境があったからです。
今、僕が本格的な練習をしようと思ったら、近い場所でも1時間以上かかりますし、たった一回数時間練習するためにも結構なお金が必要です。
練習ができる頻度も週に1回なので、その貴重なタイミングを逃せば半月も練習ができないことになってしまいます。
昔は「今日は体調が悪いから軽めに練習しよう」という日もありました。
「今日はとても寒いから、動きたくないなあ」と思う日もありました。
そんなのはいつでも練習できるから生まれる考えです。
練習ができるだけで有難いという気持ちがあれば、そのような感情は生まれてこなかったかもしれません。
この歳になって、今まで自分がどれだけ恵まれていたかを実感しています。
かと言って、僕が今いる状況が恵まれていないわけではありません。
僕は自分の意思で車を走らせて練習をしに行く事ができます。
自分のお金で体操場を借りたり、練習道具を揃える事ができます。
場所を貸して頂けることに感謝をしながら、練習に取り組む事ができます。
僕は、昔も今も恵まれています。
世の中に「当たり前なこと」は確かにあります。
そして「当たり前であると勘違いしていること」もたくさんあると思います。
そういうものは、「当たり前じゃない」と頭で分かっていても、環境が変わった時に本当の意味で理解するのかもしれません。
これからも感謝の気持ちを持って、練習していきたいと思います。