何者になるかよりどんな人間になるか

【何者になるかよりどんな人間になるか】

あるところに人の話を聞くのが大好きな若者がいました。

その若者はなんとも言えない良い表情で話を聞くものだから、そのうち話す側がその若者を求めて訪ねて来るようになりました。

若者は徐々に、人は話を聞いてあげるだけで気持ちが楽になったり、元気になったりすること、

そして不思議なことに長年苦しんでいた病を治してしまうことすらあるということに気づきました。

そこで若者は医者になりました。

取り立て難しい治療をする訳ではなく、それまで通り診察に来る人たちの話を聞いているだけでしたが、

さまざまな病気を治してしまうとたちどころに評判になり、お礼のお金や品物を持って再び訪れる人が絶えませんでした。

その成功を見ていた者の中から、その若者と同じような成功を手に入れたいと思う者が次々と現れました。

ある者は医者になることを目指して猛勉強をし、ある者は我が子に「医者になれば幸せになれる」と伝え、脇目もふらずに勉強させました。

中には医者になった者もいましたが、若者と同じように成功した者はいませんでした。

そればかりか、彼らを待っていたのは厳しい経営の現実でした。

そう、彼らは皆、医者にさえなれば幸せが手に入ると思っていたのです。

彼らがまず考えなければならなかったのは、何になるかではなく、どういう人間になるかであったのに。

もしも彼らがその若者と同じように、人の話を聞くのが好きな人になりたいと思い、それを達成していたのなら、彼らは人生においてきっと成功していたでしょう。

たとえ医者にならず、定食屋の亭主になっていたとしても。

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この話は最近読んだ本に書かれていた例え話です。

多くの人は「何をするか」「何者になるか」ばかり考えてしまいます。

しかし本当に考えなければならないのは、「どんな人間になりたいのか」ということです。

成功とは職業についてくるものではなく、人についてくるものだからです。

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